サッカーバカたち

夜、大きなバーが何件も連なるネオンの光が眩しい新市街の中心部が、緑の軍団に占拠された。それもそのはず、サッカーコロンビアリーグで優勝争いを演じるここカリのチームの試合が、敵地のグラウンドで行われたのだ。


事態は同点で折り返したハーフタイムに起きた。バーにいた緑の軍団は、どこからともなく一番交通量の多い交差点に集まりだした。マサイ族のようなジャンプをしながら歌を歌い道路を封鎖した。そして通りかかる車やバスに対して、フロントガラスを旗で目隠ししたり、ドアを蹴っ飛ばしたり鉄パイプで叩いたり。。。


私は「味が出た!」「これでこそ南米だ!」と喜び、無心にカメラのシャッターをおし続けた。するとフラッシュの光に気づいた彼らは、「ヘイ、チーノ!」と私のところに大挙押し寄せ写真のリクエストと握手攻め。気付いたら私を中心に輪ができており、晒し者にされたような感じを受けた。


ここで盾を持った機動隊が出動し、晒し者から開放された。しかし機動隊ともみ合いになることを期待していた私にとって、これは少しがっかりな結果でもあった。


結局試合は負けてしまい、彼らは肩を落として帰っていった。